安倍首相は日本を右傾化させているのか

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安倍首相は、第二次大戦中に日本は何ら悪いことをしていないと信じきっているというのは、果たして本当なのか。

タイムズ紙のリチャード・ロイド・ペリー記者は、これが事実であると主張する。

安倍首相のナショナリズムを評価するにあたり、ロイド・ペリー記者は、首相の見解とは以下のようなものであると述べている。「日本は戦時中に何ら悪いことはしなかった。または西洋の宗主国と同様のことしか行わなかった。帝国陸軍が行ったものとして伝えられている残虐行為とは、日本の敵国によるでっち上げである。」

もし、これが本当に安倍首相の考えなのであれば、極右の意見とほぼ一致する。こうした見解は、黒い街宣車に乗ってプロパガンダをまき散らすネオ・ファシストと呼ばれる人々の考えと似通っており、大多数の日本人が眉をしかめるような内容のものだ。

しかしながら、安倍首相はつい先日行われた選挙で勝利を収めたばかり。つまり、多くの有権者は、彼を過激主義者とは見なしていないと言える。一般的には中道右派とされている自由民主党は、先の参議院で安定過半数を得た。支持を固めたことで、安倍首相はようやく日本国憲法の第9条を改憲する準備を始めることができるのだ。

改憲を目指す安倍首相の提案に対して、今では日本経済新聞の傘下に入ったフィナンシャル・タイムズ紙の社説は一定の理解を示している。「世界情勢の変化に応じて、国家安全保障体制を適応させるという考えは理にかなっている。ただし安倍首相は、まず日本の国民に対してこの問題を明らかにしなければならない。」

フィナンシャル・タイムズ紙は、加えて外交問題評議会のシニア・フェローであるシェリア・スミス氏の意見も紹介している。彼女の見解によれば、いかなる内容であれ、改憲により日本における個人の権利が拡大されるのではないかとの懸念がある。そうした権利の中には、日本の国民が今は当然のものと考えている宗教、仕事、抗議運動やそれらの関連手続きについての選択に関するものが含まれるという。

安倍首相が改憲を考えており、さらには議会の支持を得ているのだとしても、彼はさらに国民の支持を得なければならない。言い換えれば、国民投票を実施する必要がある。

日本はこれまで国民投票を実施したことがない。そして、実施すれば、国家を分裂の危機にさらすことになる。エコノミスト誌は次のように主張している。「安倍首相の側近たちは、首相に対して、早期の改革を推進しないように求めている。土台作りなしに国民投票を行えば、国を分裂させ、また思いがけない結果を生むということを英国のEU離脱決定が知らしめたからである。」

安倍首相のような用心深い政治家にとって、首相を窮地に追い込みかねない国民投票の実施は、多大なリスクとなる。しかしながら、日本が世界においてより主体的な役割を負うべきという彼の長期的な目標のために、安倍首相がそのリスクを負う可能性が全くないとは言えないだろう。